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横浜・大岡川にて 2014
第十章 「拝啓 山田キヌヲ 様」

拝啓 山田キヌヲ 様

横浜でも桜が咲き始めました。あっという間に満開のようです。
上の写真は昨年のもの。横浜の大岡川という川に満開の桜が散っていく様を毎年のように撮り続けています。天空の下へと向かって映えている桜よりも、満開を祝し、大勢の人で賑わっている中の桜よりも、儚くも散っていっては所在なく、夜の川をたゆたう花びらに、何故だか惹かれてしまうのです。
そう広くはない川面いっぱいに、春風に舞い、枝から巣立った花びらがひしめき合っている様は壮観です。昼は太陽を浴びて、夜はBARやスナックの灯りを反射しては、港町ヨコハマのもうひとつの貌を覗かせてもくれるのです。だから、俺の花見のピークは来週以降。散った桜が川面を満開にする時期もほんの数日のことなので、その日を見極めるのも実は難しいのです。

前置きが長くなりましたが、その後、お元気ですか?
1月の舞台「スタニスラフスキー探偵団」公演、映画「貌斬り」撮影から2ヶ月が経ちました。
その後お変わりありませんか?

恋唄を綴りながら、稽古の日々を思い出しています。ファミマのコーヒーや、なかなか来ない京王線。カットされたフルーツや差し入れのチョコレート、殺陣の指導や、清水くんの座頭市ばりの馳一夫。村田くんのシャイなゆとり小僧から鳥将軍の麻婆豆腐。そして一度しか行かなかった中華屋のことなんかも。思い出すことはいろいろあります。苦しいけれど楽しい、楽しいけれど苦しい日々でもあったなぁと懐かしく…。あの頃は春が来るなんて思えなかった。芦花公園と名付けられたその駅に通いながら、誰一人として芦花公園の場所を知らないでいるんじゃないだろうか?少なくとも自分はそうです。芦花公園駅の、駅名の由来となったはずの芦花公園とやらに、いつかひょっこり行ってみたいと思います。
稽古場へ誰より早く到着したあなたは、いつも掃除をしたり、お湯を沸かしたり、まるで母のような振る舞いで、先へ先へと逸ってばかりの俺の心を和ませてくれていました。芝居のうえではバチバチとやり合いましたが、それだって、ある種の安心感を感じながらの戦いであったように思えてきます。本当に、本当に助けられました。ありがとう。

先日、打ち上げ以来会っていなかった細野さんに会いました。
編集でさぞ疲れているかと心配してましたが…、元気でした。そして変わらずパワフルでした。そしてまた「映画の編集は、大変ではあるが、順調。収穫あり! 」とのことでもありました。予定よりは遅れてるそうだけど、それは仕方ない。編集の若林さんと何回も何回も、稽古と同じくらい何回も、いやそれ以上の回数の全公演の映像を見ては、試行錯誤を繰り返しているようです。二人とも、単純に恐れ入ります。
楽しみだね。どんな映画になっているか、俺は本当に想像も出来ない。出来ないけれど、あの舞台を観た人には驚きの、観ていない人には尚驚愕の、映画の旨味が凝縮された一本となっていることを信じたいと思います。
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ひとつの映画が、ひとつの劇場で公開される。
当たり前のことのような出来事が、当たり前ではない時代になり、映画への関わり方を、これからもっと模索していかないと危ういと感じるようになったのも、以前自分が主演した映画が公開された時からでした。公開されて嬉しいけれど、悔しいというか力不足を感じたことも多々あって。ひっそりこっそり覗いてみた地方のミニシアターのレイトショーで、ガラガラガランとした場内に映し出される自分の姿は本当に切なかったです。場内にはポスターもチラシも置いてなくて、なのにどうして今ここで上映されているのかと不思議になるくらいで…。
東京で公開されたからといって、俺の地元、横浜で公開される保障もない。友人が待っている京都や、ずっと応援してくれている人がいる大阪や、いつも熱いコメントをくださる方が住む九州、更には北海道まで。挙げればキリがない地方都市の数々で映画が上映される環境は、年々厳しくなってきたと実感していますが、映画「貌斬り」をひとつでも多くの劇場で。そして一人でも多くの観客へ。お届け出来る為の何かが、今のこの日常の中で出来ることあれば、もうちょっと足掻いてみたいと思っています。

舞台は千秋楽、超満員の喝采の中で終わったけれど、映画はまだ蕾の段階といったところでしょうか?
映画「貌斬り」の開花宣言、満開はいつになるかはわからないけれど、劇場公開を迎えるその日まで。
自分なりの思いを温めては膨らませ、来たるべき日を待ちたいと思います。そしてまた全国各地に春の訪れを告げる桜前線のように、確かな足取りでゆっくりしっかり、映画「貌斬り」が多くの街を訪ねてくれたらいいなと、願わずにはいられません。
映画を、映画館で観る。その醍醐味を、あのひと月を超える稽古と、8回の公演を経た俺たちの姿が刻まれた「貌斬り KAOKIRI」は必ずや感じてもらえるのではないでしょうか?
なにせ映画の為に稽古をし、また映画の為に公演まで敢行したわけですから。劇場を支配する暗闇の中で、目を凝らし目撃してもらいたい。とっても奇特な、滅多に観られない映画を…。

と、あれから2ヶ月経った今も、何も出来ないながらに、先へ先へと逸ってしまっている訳ですが、これもまた性分のようで…、今目の前に映える満開の桜よりも、散っていく桜に焦がれてしまうのは、そういう性分もあるのかもしれませんが、今年もまた、大岡川の桜を、川面を満たす星屑みたいな花びらを、撮りに訪ねたいと思っているところです。

そして、まずは目の前のお仕事を頑張るしかないですね。苦手な説明台詞の三行を、今週中には覚えようと思います(苦笑)。
キヌヲちゃんも忙しいとは思いますが、体調に気をつけて。またみんなで会えますように。

長々なりましたが、勝手な文章を書いてすみません。
ただ、いつかあなたへのお礼も込めて、また敬意を表し、手紙を書いてみたかったのです。
俺よりもずっとずっと細やかに、稽古の日々を観察し、記録し、研究を重ねていたあなたの姿勢が、この文章を綴るきっかけにもなっていたもので…。
どうかお許しを。。。

3月30日 草野康太
 

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舞台「スタニスラフスキー探偵団」を経ての、映画「貌斬り」は絶賛編集中。
この文章は、その完成した映画を、全国各地の映画館で観てもらいたい一心で書いてみようと思ったものです。
映画「貌斬り」はモーションギャラリーサイトにて、劇場公開を支援していただける方を募っています。良かったらサイトの方もご覧になっていただければ幸いです。募集も残り一ヶ月を切ってきました。
 (Click!) 
情報拡散、シェアも大歓迎です! よろしくお願いします!

Comments

ともこ | 03.31.2015 18:26
康太くん泣けた!あなたのことがますます大好きになった!あなたの思いが届きますこと、あなたの情熱がいろんなものを動かすことを、、切に祈ります。あたし、あつい?(笑)ずーーっと応援します!
sakura | 04.01.2015 12:01
舞台を拝見しました。
風間監督の情熱的な台詞の裏側には、草野さんのこんな想いが隠されていたんだなと、この文章を読んで気づかされました。
映画の公開楽しみです。
陰ながら応援してます。

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